福祉事業のサバイバルシリーズ1ー訪問介護ー

福祉事業は、今や生き残りをかけた改革を行わない生き残れない業界になってきました。もはや、高齢社会だから、やれば儲かるという事業でもありません!政府は時々補助金を配ってはくれますが、抜本的な改革にはならず、M&Aで拡大する企業も多くなってきました。

そこで、福祉事業のサバイバルシリーズを各事業ごと考えていきたいと思います。

訪問介護は、基本的に在宅の要支援・要介護の方たちを訪問し介護・支援する事業です。
(ここでは住宅型有料老人ホームと併設の訪問介護事業を除きます。住宅型については別のサバイバルで考えます!)

サバイバルを考える前に、まず、訪問介護事業の収益構造について整理してみます。

まず、事業を立ち上げるためには、人員基準として2.5人必要です。つまり正社員が管理者で一人、サ責(サービス提供責任者)が一人とパートさん一人が必要です。
管理者・サ責が兼務で正社員一人とパートさん数人のパターンや、社長が管理者でサ責一人とパートのパターンもあるでしょう。このような場合、常勤加算法を用い、この常勤加算が2.5以上あれば、事業所を立ち上げることが可能になります。
※常勤加算についてはこちら

①給与
ざっと、この人数の給与は、賞与(年回2ケ月分)も込みで月平均100万円ほど必要になります。
②家賃
事業所の基準は細かく決まっていますが、ここでは家賃10万円とします。
③社有車
軽自動車3台をリースで借りるとして約10万円とします。
④その他(通信費、消耗品、保険等)
20万円とします。

費用合計・・・140万円になります。

上記費用に対して売上を考えます。

訪問介護の点数は時間などで細かく決まっています。身体1(30分)で244点です。売上高として約2500円です。(点数に掛ける地域区分は地域によっても異なりますがここでは1点10円とします。)

正社員一人が1日に5件、パートが1日に3件の訪問ができたとして、
・正社員 5件 × 2500円 × 2人 × 22日 = 550,000円
・パート 3件 × 2500円 × 1人 × 22日 = 165,000円
よって、事業所の売上高は715,000円となります。

売上から費用を引くと、1,400,000円-715,000円=▲685,000円 の赤字となってしまいます。

もちろん、点数には加算がプラスされますし、朝や夕方の時間帯で割り増しもありますので、こんなに赤字にはなりませんが、そう簡単に利益が出る事業ではないと理解していただきたいのです・・・。

在宅訪問介護のみを行っている事業者は、いろいろな工夫を行い、大変な思いで事業を継続しています。

問題点としては
・経営者自ら日々現場に出る
・曜日と時間が決まっていて、余分な社員もいないので有給休暇が取れない
・全員が集まって会議や研修する時間がない
・自家用車で訪問をせざるを得ない
・訪問がない時間にやることがなく怒られる
・駐車禁止の訪問先ばかりで駐車場からかなりあるかなければならない
などなど様々あります!

居宅介護は、障がい福祉サービスの中でも唯一、介護保険制度と共生的に行える事業です。管理者とサ責も兼務可能で介護保険の基準と同じ内容で行え、かつ資格も初任者研修や介護福祉士など訪問介護を行うことができる有資格者で行うことができます。ケアの内容については、障がい特性を理解するなど、高齢福祉のスキルだけではやや難しい業務もありますが、介護に慣れている職員さんなら、障がい者の支援も問題なくできると思います。
介護保険の点数は、利用者にとって限度額点数(いわゆる上限)がありますが、障がい福祉では、利用者がサービス受給者証を持ち、行政から与えられた時間を上限に行うことになります。一般的に介護よりも手厚い傾向があるため、居宅介護を取り入れると、かなりの売上アップが見込めます。

訪問介護で多くの事業者が悩んでいることは、正社員やパートが空き時間に売上を上げていないことです。利用者宅から利用者宅への移動時間もそこに含まれます。登録ヘルパーやパートの規定で、インセンティブ制度を取り入れ、実際に売上を上げることができる時間に手当や給与を割り当てるなど工夫をすることで、職員も空き時間を作りたくなくなり、積極的に訪問に努力してくれることにもなります。

インセンティブ制度については、顧問社労士さんとよく相談し、自社に合った制度かつ労働基準法のコンプライアンス内での設定が必要です。また、管理者さんとよく話し合い、みなが納得してくれるルールにすべきだと考えます。

サバイバル②と同じようなことが言えますが、正社員が1日8時間の中で、身体1のように30分の訪問プランをいくつこなせるか最大化を考えることが売上効率の良さになります。極端な話、移動時間がゼロなら16件行くことができるわけですが、当然、移動時間があることから、実際は1日に10件も行くことはできないでしょう。
また、支援内容(ケアプラン)も職員マターでなく、利用者マターで決められるので、その職員がちょうど空いている時間帯にプランを持っている利用者がいるかいないか?そこが勝負になります。そのケアプランを決めるのはケアマネさんです。
職員が5人以上になってくると、この職員のシフトはパズルのようになってきます。どうすれば皆がヒマヒマすることなく効率的に訪問に行くことができるか?このシフトをうまく作ることが売上を上げるコツなのは言うまでもありません。

ただし、この効率を考えるときに大きな注意点があります。それは、ケアマネさんが決めるケアプランは利用者様のための利用者様本位のプランであり、決して介護事業者側だけの都合で時間を決めれるわけではありません。
例えば、15時に食事ケアのプランは普通作らないのは言うまでもありません。
また、14時頃や16時頃、ヘルパーが空いているから何かプランを作ってということも、介護保険のムダ使いとなってしまう観点から、そのような理由でケアマネさんが安易にプランを作ることも普通はありません...。

ここのサバイバル③をまとめると、
事業者は、訪問介護にはどんどん行きたい。効率よく行きたい。
利用者様は、介護保険の限度額点数の枠内で、こちらが希望する時間に来てほしい。
ケアマネさんは、利用者様の状態やご家族の関わり具合、事業者のシフトなどあらゆる観点からケアプランを作りたい。
この3社の思惑が、WIN-WINとなるような調整ができるといいですね、ということになります。

サバイバル③で述べたように、職員の移動時間が売上アップや効率化のネックになります。訪問記録もまだ紙で書いているところもあるかもしれませんが、記録や報告に1回1回事務所に帰ってくることは移動時間の無駄になります。もちろん、サ責や管理者との報連相は必要ですので、顔を合わせることも大切ですが、記録も含め、IT化を行うことで、この「移動時間のムダ」をなくすことが大切です!

ここまで、移動時間のムダや訪問効率について述べてきましたが、老人ホームなどの施設において、居室1個1個はいわば利用者様の自宅とも言え、隣の部屋に行くことは移動時間ゼロにもつながるわけです!!!
訪問介護事業を併設して、または同一建物内で行うことができる施設とできない施設がありますので、ここについては別サバイバルで考えます。

まだまだ考えられると思いますが、詳細を知りたいかたは、日本福祉人財開発協会までお問合せ下さい。
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