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化学から自動車、そして福祉へ。異色の経歴が、今の福祉経営をつくった

最近、こんなことを言われる機会が増えました。

「福祉業界では、かなり異色の経歴ですよね」

自分では、あまり意識したことがありませんでした。

目の前の仕事を一つひとつやってきただけだからです。

でも、改めて振り返ってみると、確かに少し変わった道を歩いてきたのかもしれません。

私のスタートは、福祉ではありません。

もともとは「化学」の世界にいました。

そこから製造業へ。

さらに自動車業界に関わり、トヨタ生産方式をはじめ、工程管理、品質管理、納期管理、生産管理など、製造業では当たり前のように求められる様々な管理手法を学んできました。

そしてその後、まったく違う世界に見える「福祉」の仕事に入ることになります。

施設長として現場にも入り、職員採用、家族対応、行政対応、コンプライアンス、指定申請、加算、監査、事業立ち上げ、経営管理――。

気づけば、福祉事業を「立ち上げるところ」から「現場を回すところ」まで、一通り経験してきました。

一見するとバラバラな経歴です。

でも今振り返ると、そのすべてが現在の福祉経営につながっています。

原点は「化学」だった

化学コンビナートの様子

私はもともと理系で、化学を専門としていました。

化学の世界では、

「なぜ、この結果になったのか」

を考えることが基本です。

感覚だけではなく、原因を分解する。

条件を変えて比較する。

再現性を確認する。

仮説を立てて、検証する。

こうした考え方は、後になって福祉の経営をするようになってからも、かなり役に立っています。

例えば、施設で事故が増えた。

  • 職員の離職が増えた。
  • 残業時間が増えた。
  • 稼働率が落ちた。
  • 売上が下がった。

こんな時に、

「最近の職員は意識が低い」 とか 「たまたま忙しかった」

で終わらせてしまえば、何も改善しません。

何が原因なのか。

  • 人なのか。
  • 仕組みなのか。
  • 配置なのか。
  • 業務手順なのか。
  • 情報共有なのか。
  • 話を聞いてあげなかった管理者のせいなのか?

私はどうしても、そうやって分解して考えてしまいます。

これはおそらく、最初に学んだ「理系の思考」が今も残っているからだと思います。

製造業で学んだ「管理」という考え方

その後、製造業、特に自動車業界に関わる仕事を経験しました。

ここで学んだことは、本当に大きかったと思います。

  • 工程管理。
  • 品質管理。
  • 納期管理。
  • 在庫管理。
  • 生産性。
  • 標準化。
  • 改善活動。

まだまだあります。再発防止、なぜなぜ分析、5S活動、TPO、小集団活動、数えきれないほどの手法を学べました。

そして、トヨタ生産方式の考え方が大きく自分に残っています。

製造業では、「頑張れ、頑張ります」では管理になりません。

  • 今日、何個つくるのか。
  • 何時までにつくるのか。
  • 不良率は何%なのか。
  • どの工程に時間がかかっているのか。
  • どこで滞留しているのか。
  • 異常が起きたとき、誰がどう対応するのか。

できる限り、見えるようにします。(見える化、視える化)

そして問題が起きれば、「誰が悪いのか」よりも、

「なぜ、この仕組みで問題が起きたのか」

を考えます。

罪を憎んで人を憎まずの図

私は、この考え方が福祉業界でも非常に役に立つと感じています。

福祉は「管理」「仕組み化」によって、もっと働きやすくできる

福祉の仕事に入って、最初に感じたことがあります。

現場の職員さんは、本当に一生懸命です。

利用者さまのために頑張っている人がたくさんいます。

そしてみな優しい…

一方で、組織として見ると、業務の整理や標準化、仕組みづくりが十分でない事業所も少なくありません。

例えばシフト作成。

毎月、施設長や主任が何時間もかけてシフトを作っている。

  • 希望休を確認する。
  • 夜勤回数を確認する。
  • 連勤を確認する。
  • 人員基準を確認する。

まずは、手書きでシフト表を埋めていく…

そして、慣れない手つきでExcelに入力する…

できたと思ったら、「この日は出られません」と言われて、また修正する。

こうした業務も、製造業的に見れば一つの「工程」です。

  • どこに時間がかかっているのか。
  • どこを標準化できるのか。
  • どこをシステム化できるのか。
介護現場のムリ・ムダ・ムラを解説する図

そう考えれば、改善する余地はたくさんあります。

ただし、ここで私が大切にしていることがあります。

効率化は、職員をもっと働かせるためにするものではない。

ということです。

業務改善の目的は、人を削ることでも、余った時間に仕事を詰め込むことでもありません。

職員さんが無駄な業務に追われず、余裕を持って働けるようにする。

そして、その余裕を利用者さまと向き合う時間に変えていく。

私は、そのために管理や改善があると思っています。

福祉に来て、一番大切だと思ったこと

私は管理や実務については、かなり幅広く経験してきました。

  • 経営もやる。
  • 現場もやる。
  • 行政対応もやる。
  • 申請もやる。
  • 収支も見る。
  • 業務改善もする。
  • システムもつくる。

ただ、福祉の世界に入って、最終的に一番大切だと思うようになったことは、こうした管理手法ではありません。

私が代表を務める日本福祉人財開発協会でも、大切にしている考え方があります。

「職員さんが笑顔でなければ、利用者さまは笑顔になれない」

という考え方です。

ここで誤解してほしくないことがあります。

これは、

「職員なんだから、いつも笑顔でいなさい」

という意味ではありません。

むしろ逆です。

職員さんを笑顔にするのは、経営者や管理者の仕事だと思っています。

「笑顔で働ける職場」をつくるのは経営者の仕事

  • 人手が足りない。
  • 休みが取れない。
  • サービス残業がある。
  • 人間関係が悪い。
  • 上司に相談できない。
  • 意味の分からないルールが多い。
  • 毎日書類に追われている。
  • 研修と言えば、動画を流して感想を書くだけ。

そんな職場で、「利用者さまには笑顔で接しましょう」と言っても無理です!

だから経営者や管理者がやらなければならないのは、

職員に笑顔を要求することではありません。

職員が自然に笑顔で働ける環境をつくることです。

  • 業務を見直す。
  • 無駄な仕事を減らす。
  • 休みを取りやすくする。
  • 相談しやすい組織をつくる。
  • 頑張っている人をきちんと評価する。
  • 働く意味を感じられる研修をする。
  • 専門職として成長できる機会をつくる。

そういうことを一つずつ積み重ねていく。

私が製造業で学んだ「カイゼン(改善)」や「管理」も、最終的にはここにつながっています。

人を大切にすれば、介護はやさしくなる

介護は、人が人に提供するサービスです。

どれだけ立派な理念があっても、実際に利用者さまに接するのは現場の職員さんです。

その職員さんが疲れ切っていたらどうでしょう。

余裕がなかったらどうでしょう。

職場への不満を抱えながら働いていたらどうでしょう。

やさしい介護をしようと思っていても、心の余裕がなければ難しくなります。

逆に、

  • 自分が大切にされている。
  • 困った時には助けてもらえる。
  • 自分の仕事を認めてもらえる。
  • 成長できている。
  • ここで働いていてよかった。

そう思える職員さんが増えれば、その気持ちは自然と利用者さまへの接し方にも表れると思っています。

だから私は、

利用者さまを大切にしたいのであれば、まず職員さんを大切にする。

これが福祉経営の基本だと思っています。

私がユマニチュードを大切にしている理由

ユマニチュードのやさしい介護を支える4つの柱(見る・話す・触れる・立つ)

その考え方とも非常に相性が良いと感じているのが、「ユマニチュード」です。

私はユマニチュードという考え方、そしてケアの手法を尊敬しています。

実際に取り入れていますし、人に教えることもあります。

ユマニチュードには、人を単なる「介護される対象」として扱うのではなく、一人の人間として尊重するという考え方があります。

  • 見る。
  • 話す。
  • 触れる。
  • 立つ。

そうした日常的な関わりの中に、「あなたを大切な人として見ています」というメッセージを込めていく。

私は、この考え方がとても好きです。

ただ、ここでも同じことが言えます。

職員さん自身が会社から大切にされていないのに、

「利用者さまを尊重しましょう」

「利用者さまを大切にしましょう」

と職員に求め続けるのには、限界があります。

人から大切にされた経験がある人ほど、人を大切にできる。

だからこそ私は、

利用者さまへのケアと、職員さんへの経営姿勢は別物ではない

と考えています。

職員を大切にすることは、きれいごとではない

「職員を大切にしましょう」

と言うと、精神論に聞こえるかもしれません。

でも私は、これはむしろ経営そのものだと思っています。

  • 職場環境を改善する。
  • 業務を整理する。
  • 教育する。
  • きちんと休めるようにする。
  • 相談できる組織をつくる。
  • 管理者を育てる。

こうしたことを続ければ、結果として職員は定着します。

離職率も下がっていきます。

職員が定着すれば、採用コストも下がる。

新人教育ばかりに追われなくなる。

経験のある職員が増える。

チームワークも良くなる。

ケアの質も安定する。

利用者さまやご家族との関係も良くなる。

つまり、福祉経営において、

「職員を大切にすること」は「経営を良くすること」です!

高木さと子氏との出会いと、ハグニケーションズの教え

ユマニチュードを学び、実践していく中で、私は改めて「人を大切にすること」の重要性を強く感じるようになりました。

そんな中で出会ったのが、株式会社ハグニケーションズ代表の高木さと子氏(以降「さとこ先生」と呼ぶ)です。

働く人のしあわせをつくる ハグニケーションズ
※ 株式会社ハグニケーションズ公式サイトより抜粋

さと子先生が伝えていること、そしてハグニケーションズが大切にしている考え方は、私が以前から考えていた

「職員さんが笑顔でなければ、利用者さまは笑顔になれない」

という考え方と、非常に相性の良いものでした。

職員に対して、

「もっと笑顔で接しなさい」

「もっと利用者さまに優しくしなさい」

と求めるだけでは、本当の意味で良い職場にはなりません。

その前に、

  • 経営者や管理者が職員を大切にする。
  • 職員が安心して働ける環境をつくる。
  • 自分が大切にされていると感じられる職場にする。
  • 人との関わり方を学び、相手を尊重することの意味を理解する。

そうした土台があって初めて、利用者さまへのやさしい関わりにつながっていく。

さと子先生の考え方に触れたとき、

「自分が考えていた福祉経営の方向性は、これでいいんだ」

と強く感じました。

それ以来、私が経営する施設だけでなく、関わっているクライアントの事業所でも、機会があればさと子先生に研修をお願いしてきました。

テーマは単なる接遇研修ではありません。

「人を大切にするとはどういうことなのか」

「相手との関係をどう築くのか」

「職員同士が気持ちよく働くためには何が必要なのか」

「次世代管理者育成研修」などなど

福祉の仕事をする上で本当に大切な部分を学ぶ研修です。

私は、制度や加算、人員基準、収支、業務改善といった経営実務ももちろん重要だと思っています。

しかし、それだけでは良い福祉事業所にはなりません。

最終的にサービスをつくるのは「人」です。

だからこそ、職員一人ひとりを大切にする文化をつくることが、何より重要だと思っています。

そしてさと子先生には、現在、一般社団法人日本福祉人財開発協会の理事も務めてもらっています。

これは単に外部講師として研修をお願いするという関係ではありません。

私たちが目指している

「職員を大切にする福祉経営」

という考え方を、一緒に広げていきたいと思ったからです。

  • 制度を学ぶ。
  • 経営を学ぶ。
  • 業務を改善する。
  • AIやITも活用する。

それと同じくらい、

  • 人を大切にすることを学ぶ。

福祉経営には、この両方が必要だと思っています。

経営が良くても、人を大切にしない会社では意味がない。

逆に、想いだけがあっても、経営が成り立たなければ続かない。

だからこそ、

「経営」と「人を大切にすること」を両立させる。

それが、私がこれからも目指していきたい福祉経営の形です。

「現場主義」 現場は仕組み化する素材の宝庫

製造業の管理手法だけを福祉に持ってきても、今の考え方にはたどり着かなかったと思います。

実際に現場に入ったからこそ分かることがあります。

私は福祉の世界に入ってから、管理者や施設長として現場を経験しました。

  • 職員採用。
  • 職員面談。
  • 家族対応。
  • クレーム対応。
  • 事故対応。
  • 勤務表作成。
  • 行政対応。
  • 実地指導、監査対応。
  • 加算届。
  • 変更届。
  • 人員基準。
  • 運営基準。
  • 指定申請。
  • 消防。
  • 建物。
  • 労務。
  • 国保連請求。
  • 資金繰り、金融機関との折衝

本当にいろいろなことを経験しました。

福祉施設の施設長という仕事は、実際にやったことがある人なら分かると思いますが、とにかく守備範囲が広い。

(障がい福祉サービスの就労継続支援ならここに本当に生産管理や品質管理などの製造業の手法も加わりますが、この話は別の機会に・・・)

  • 朝、職員の欠勤連絡から始まり、
  • 昼には家族から電話があり、
  • 午後には行政から連絡が入り、
  • 夕方には採用面接、
  • 夜になったら翌月の勤務表を作る。

そんなことも珍しくありません。

だからこそ、

「現場はこうあるべき」と外から簡単に言うつもりはありません。

大変さを知っているからこそ、その負担をどう減らせるかを考える。

これも私の仕事だと思っています。

「経営」と「現場」の両方を知ることの意味

福祉の経営相談をしていると、

経営だけを見ている人と、現場だけを見ている人で、

話が噛み合わないことがあります。

◆経営者は、「もっと売上を上げたい、生産性を上げたい」

と言う。

現場は、

「これ以上仕事を増やさないでほしい」

と言う。

◆経営者は、「人件費が高い」

と言う。

現場は、

「人が足りない」

と言う。

どちらも間違っていません。

見る位置が違うだけです。

私は施設長として現場を経験したことで、この両方の感覚が分かるようになりました。

  • 数字だけを見てもダメ。
  • 現場だけを見てもダメ。

両方を行ったり来たりする必要があります。

そして、その間をつなぐのが「仕組み」だと思っています。

福祉経営には「行政」という特殊なプレイヤーがいる

もう一つ、福祉業界に来て大きく違ったのが行政対応です。

福祉事業は、普通の会社経営とはかなり違います。

  • 介護保険法。
  • 障害者総合支援法。
  • 指定基準。
  • 報酬告示。
  • 解釈通知。
  • 自治体独自のルール。
  • 加算。
  • 減算。
  • 変更届。
  • 体制届。
  • 運営指導。
  • 実地指導、監査。
  • 指定更新。

福祉事業を経営するということは、こうした制度の中で経営するということでもあります。

そして、この世界は、「知らなかった」では済まないことがたくさんあります。

私は、こうした面倒な手続きや行政対応も数多く経験してきました。

正直、最初から好きだったわけではありません。

しかし、何度も調べ、行政に確認し、申請書を書き、指摘を受け、修正していくうちに、いつの間にかかなり詳しくなっていました。

これも今では大きな財産です。

事業を「つくる側」も経験した

さらに、福祉事業の立ち上げにも関わってきました。

福祉事業は、指定を取れば終わりではありません。

  • 物件を探す。
  • 用途地域を確認する。
  • 消防設備を確認する。
  • 人員を集める。
  • 指定申請をする。
  • 運営規程を作る。
  • 重要事項説明書を作る。
  • 契約書を作る。
  • 請求できる状態にする。
  • 利用者を集める。
  • 職員を教育する。
  • 収支計画を立て実際と合わせる。

事業を立ち上げるということは、こうしたものを全部つなげることです。

私はいつの間にか、

「事業を立ち上げる」

「行政手続きをする」

「現場を運営する」

「数字を見る」

「業務を改善する」

「職員を育てる」

という、一連の流れを経験していました。

自分は何者なのか

最近、自分でも時々考えます。

自分は何屋なのだろう、と。

  • 化学の専門家だった。
  • 製造業にもいた。
  • 自動車業界で生産管理を学んだ。
  • 福祉施設の施設長もやった。
  • 福祉事業の立ち上げもやった。
  • 行政対応もやった。
  • 経営もやった。
  • 職員研修もやる。
  • 最近ではAIやシステム開発までやっています。

一見すると、まとまりがありません。

でも、今になって思います。全部つながっていました!!!

自分の仕事は、

「複雑なものを整理し、人が働きやすい仕組みに変えること」

なのかもしれません。

化学でもそうでした。

製造業でもそうでした。

そして福祉でもそうです。

福祉の常識だけで、福祉を考えない

私は、福祉業界の良いところをたくさん知っています。

一方で、

「昔からこうだから」

「福祉ではこれが普通だから」

という言葉には、少し疑問を持つようにしています。

製造業ではどうしていたか。

IT業界ならどうするか。

AIならできないか。

違う業界ならどう考えるか。

福祉業界の問題を、福祉業界の常識だけで解決する必要はありません。

むしろ、外の世界にヒントがあることの方が多いと思っています。

ただし、新しいものを導入する目的を間違えてはいけません。

AIを入れることが目的ではない。

DXをすることが目的ではない。

生産性を上げること自体が目的でもない。

その先にいる「人」を楽にする。

その結果、利用者さまへのケアを良くする。

そこまでつながって初めて、意味があると思っています。

異色の経歴は、遠回りではなかった

化学から自動車、福祉まで、異色の経歴がすべてつながっていることを表す図
  • 化学。
  • 製造業。
  • 自動車。
  • 生産管理。
  • 品質管理。
  • 福祉。
  • 施設運営。
  • 行政対応。
  • 事業立ち上げ。
  • 経営。
  • 職員教育。
  • AI。

こうして並べると、かなり節操のない経歴にも見えます。

でも、今はこれでよかったと思っています。

一直線に福祉だけを歩いていたら、今とは違う考え方をしていたかもしれません。

遠回りに見えた経験が、全部いまの仕事につながっています。

だから私は、

「福祉の常識に、他業界の知恵を持ち込む」

ということを、これからも続けていきたいと思っています。

でも、その中心にあるのは、管理でもAIでもありません。

人です。

職員さんが笑顔で働ける会社にする。

職員さんが、「ここで働いていてよかった」「うちの親もこの施設に入居させたい」

と思える会社にする。

そうすれば、その笑顔は利用者さまに伝わります。

  • 利用者さまへの声のかけ方が変わる。
  • 接し方が変わる。
  • 介護がやさしくなる。
  • そして、利用者さまも笑顔になる。

私は、

「職員さんが笑顔でなければ、利用者さまは笑顔になれない」

という言葉を、これからも福祉経営の中心に置いていきたいと思っています。

そしてもう一つ。

職員を本当に大切にする会社こそ、福祉で一番の会社になれる。

私は、そう信じています。

Kling AIで動画作りに初挑戦。AIは「使えばすぐ楽になる」わけじゃなかった。でも、やってみる価値はある

Kling AIで動画作りに初挑戦

今日は、AI動画生成ツールの「Kling AI」をダウンロードして、いろいろな動画作りにチャレンジしてみました。
最近、私は福祉の現場や経営の中で「AIをどう活用できるか」をいろいろ試しています。

KlingAI画面(ログイン後)

ChatGPTを使った文章作成や議事録作成などは、かなり実用的になってきました。そこで次に挑戦してみたのが、AIを使った動画作りです。

「AIなら簡単でしょ」と思っていた

Kling AIを使えば、
「キャラクターを動かして、しゃべらせれば簡単に動画ができる」
最初はそんなイメージを持っていました。

ところが・・・・・・・
実際にやってみると意外と大変です・・・💦
–キャラクターを動かしてみる。
–セリフを入れてみる。
–動画を生成してみる。

すると、
「動きはいいけど、口が合っていない」
「音声はいいけど、動画の雰囲気が少し違う」
「ここだけ直したいのに……」
ということが次々と出てきます・・・

リップシンクとの格闘

今回、特に苦労したのがリップシンクでした。リップシンクとは、簡単にいうと「話している音声と口の動きを合わせる」ことです。

ChatGPT作のイラスト

動画そのものは良い感じにできた。音声も良い。でも、口の動きが微妙に合わない。そこで、
「Kling AIでリップシンクだけ修正できないのか?」
「完成した動画をアップロードして直せないのか?」
と、また調べるところから始まりました。
さらに、リップシンクをやり直すために、
「元の動画から音声だけ取り出したい」
という新たな問題も発生。
動画編集に使っているHitPaw Edimakorを開いて、音声を「抽出」。などなど奮闘しました。

HitPaw画面(ログイン後)

一つ問題を解決すると、また次の問題が出てきます!

次は、KlingAIが勝手に何語か分からない言語のテロップが入ってしまいました…。日本語で、何度も「テロップを入れないで」「文字を消して」と入れても消えません。

何語なんだ?

そこで、ChatGPTにお願いして、KlingAI用のプロンプトを英語で作ってもらいました。以前に、AIへの指示、プロンプトは英語の方が適格に伝わると聞いたことがあったからです。
ずばり一発で変なテロップが消えました!

AIを使うにも、やっぱり努力が必要

今日一日触ってみて感じたのは、
AIは「ボタンを押せば全部やってくれる魔法の道具」ではない
ということです。もちろん、以前なら専門業者にお願いしたり、高度な動画編集技術が必要だったことを、個人でもできるようになっています。これは本当にすごい!!

ただ、
「どのAIを使うのか」
「AIにどう指示するのか」
「うまくいかなかった時にどう修正するのか」
「別のAIや編集ソフトとどう組み合わせるのか」
自分で試行錙誤しないと分かりません。

AIの知識だけではなく、AIを使って試してみる力。なのかもしれません。

失敗した時間も無駄ではない

今日も、何度も動画を作り直しました。思ったようにならない動画もありました。でも1日頑張ってみて、
「動画を作る」「音声を取り出す」「リップシンクする」「キャラクターをしゃべらせる」
という作業が、少しずつ自分の中でつながってきました。これがAIを学ぶということなのかもしれません。

福祉の仕事でも同じだと思う

私は、この経験は福祉の現場でAIを導入するときにも、とても重要だと思っています。
「ChatGPTを導入しました」
「AIを使えるようにしました」
それだけでは、なかなか業務改善にはつながりません。まず職員さん自身が、

  • 触ってみる。
  • 失敗してみる。
  • もう一度やってみる。

この経験が必要です!

私自身がこうしてAI動画で悪戦苦闘しているのも、その一つです。自分で使ってみなければ、現場の職員さんに「AIを使いましょう」とも言えません。

それでも、AIは面白い

今日一日、Kling AIを触りながら何度も失敗しました。それでも、
「こんなことまで一人でできる時代になったんだ」
と感じています。少し前なら、
キャラクターを作り、
動画にして、
しゃべらせて、
SNSに投稿する、
なんてことを一人でやろうとは思わなかったはずです。
AIによって、そのハードルが一気に下がりました。
まだまだ勉強中です。
でも、この「奮闘」そのものが、これからAIを仕事で使っていくための経験になっている気がします。
これからも福祉の仕事に使えそうなAIを、実際に自分で試しながら紹介していきたいと思います。

奮闘して作成した動画がこちら↓
日本ハグ協会のマスコット「はぐよ」ちゃんのあいさつです。
https://www.youtube.com/shorts/lbHeP2QyUEQ


初出:note記事「Kling AIで動画作りに初挑戦。AIは「使えばすぐ楽になる」わけじゃなかった。でも、やってみる価値はある」

【実践してみた】45分の看護会議をAIで議事録化してみた!

【実践してみた、45分の看護会議をAIで議事録化してみた

介護施設では、会議そのものよりも、会議が終わった後の「議事録作成」に時間がかかることがあります。
今回は、実際の介護現場で行った45分間の看護会議を使って、
「音声記録 → 文字起こし → ChatGPTで議事録作成」
までを実際に試してみました。

まず、看護会議をスマホで録音

今回の会議は約45分。普段通り看護会議を行い、その内容をスマホで音声録音しました。ここまでは特別な機材は使っていません。(Plaude購入検討中ですが)

会議中に細かくメモを取るのではなく、まずは会議そのものに集中して、音声を残しておくという方法です。
会議終了後、この音声データをChatGPTに読み込ませて、そのまま議事録にできれば一番簡単だと思いました。

ところが…ChatGPTに音声を入れてみたが、うまくいかなかった(*_*;

実際に45分間の音声データをChatGPTに読み込ませてみました。しかし今回は、音声データが長すぎたためか、うまくテキスト化することができませんでした。(ちなみにClaude Codeでもできませんでした)

「やっぱりAIでは無理か」
と思いましたが、なんとか別の方法を試してみることにしました。
AI活用では、こうした「一発ではうまくいかない」ということも普通にあります。
大事なのは目的を
「ChatGPTに直接音声を読ませること」
ではなく、
「会議内容をテキストにして、議事録作成を効率化すること」
と考えることです。

Buzzサイトの画像

無料で使える「Buzz」を試してみた

そこで使ってみたのが、Windowsで利用できる文字起こしソフトのBuzzです。(Nottaも使ったことあるのですがすぐにトークンが必要になった記憶があったので…)
Buzzをパソコンにインストールし、スマホで録音した会議の音声データを読み込ませました。
すると三分くらいで45分間の音声をテキストに変換することができました。

感動!!無料でできた!!😃

(ちなみにBuzzが何回・何時間分が無料で使えるのかは不明です…)

文字起こしした文章をChatGPTへ

そしてBuzzで作成した文字起こしテキストデータをChatGPTに読み込ませ、
「これは介護施設の看護会議です。正式な議事録として整理してください」
と依頼しました。

かなり分かりやすい形で議事録として整理されました。

「話が前後する」「同じ内容を何度か話す」「いろいろな人が話をする」「途中で別の話題に変わる」という部分は気になったのですが、さすがチャッピー(ChatGPT)。
うまく整理してくれてます!

ChatGPTがまとめてくれた実際の資料

今回やった流れはこれだけ

今回の方法をまとめると、

  • ① 看護会議をスマホで録音
  • ② 音声データをBuzzで文字起こし
  • ③ 文字起こしデータをChatGPTに読み込ませる
  • ④ ChatGPTに議事録として整理しファイル出力
  • ⑤ 最後に人が内容を確認・修正する

という流れです。高度なシステムを導入したわけではありません。スマホとWindowsパソコン、そしてChatGPTを使っただけです。

実際にやってみて感じたメリット

本当に楽です!
Plaudeを購入することも考えていますが、まずは無料でもできたことがうれしかったです!

質問・相談は https://welsemi.com

【最後に…】

ChatGPTが作った議事録を、そのまま正式な議事録として保存するのはおすすめしません。文字起こしの段階で誤認識がありますし、ChatGPTも内容を誤って解釈する可能性があります。
ですから、
AIが議事録を作る → 人が最終確認する
という運用が基本です。
それでも、
白紙から議事録を書く
のと、
すでに90%くらい出来ている文章を確認する
のでは、職員の負担は大きく違います。

介護現場だからこそ、こういうAI活用が役に立つ

介護施設では、会議や委員会が非常に多くあります。看護会議だけではありません。職員会議、ユニット会議、ケース会議、感染対策委員会、虐待防止委員会、身体拘束適正化委員会など、さまざまな会議があります。そして、そのたびに誰かが議事録を作っています。

1回の議事録作成時間を少し短縮するだけでも、それが毎月、毎年積み重なれば大きな時間になります。その時間を、

  • 利用者さんと話す時間
  • 職員同士で相談する時間
  • ケアを考える時間

に使えるようになれば、AI導入の意味は十分にあると思います。
また、生産性向上は職場環境要件のクリアのためにも必須です!

今回の結論

介護の現場でもどんどんAIをつかうべし!


初出:note記事「【実践してみた】45分の看護会議をAIで議事録化してみた!」

ゼロからわかる介護事業のつくり方 完全ガイド

ゼロからわかる介護事業のつくり方 完全ガイド

はじめに

「介護事業を始めたい。でも、何から始めればいい?」

法人登記に25万円。事務所物件の初期費用に30万円。デスクや棚などの備品に30万円。

これは、実際に一人の介護福祉士が勤務先を辞め、訪問介護を開業したときにかかった費用の一部です。開業に必要だった資金は、合計約85万円でした。

「介護事業を始めるには、何千万円も必要なのでは?」

そう思っている方も多いかもしれません。(もちろん軌道に乗るまでの人件費は別途必要ですが……)

しかし、介護事業は選ぶ業態によって、必要な資金も、人員も、資格も、難易度も大きく違います。

また、「介護事業の開業」というと、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは「いくらかかるのか分からない」という漠然とした不安ではないでしょうか。

本記事を手に取ってくださったあなたは、おそらくこんな状態にいるはずです。

福祉の仕事には関心がある。人の役に立ちたい、という気持ちも本物。だけど、経営はやったことがない。介護の資格もない、あるいは資格はあっても現場経験しかない。資金だって、潤沢にあるわけではない。銀行が貸してくれるかも分からない。それでも「本当に自分にもできるのだろうか」という問いが、頭のどこかでずっと引っかかっている。

そして、その答えを探そうとインターネットで検索してみても、出てくるのは制度の解説記事か、業界の厳しさを訴える投稿か、開業支援業者の宣伝ばかり。どれも間違ってはいないのですが、「結局、自分は何から手をつければいいのか」という一番知りたいことには、なかなかたどり着けません。情報はあるのに、前に進めない。多くの人がここでつまずきます。

ネットで調べれば、指定基準や人員基準はいくらでも出てきます。しかし、本当に知りたいのは、

  • 自分にはどの介護事業が向いているのか
  • いくら用意すれば始められるのか
  • どんな資格・人材が必要なのか
  • 何か月前から準備すればいいのか
  • どんな物件を選べばいいのか
  • 開業後、どうやって利用者を増やすのか
  • どこで失敗しやすいのか

ではないでしょうか。

本記事は、その状態から抜け出すために書きました。

私はこれまで、訪問系・通所系・入居系、ほとんど全ての介護事業の運営に実際に携わってきました。物件探し、指定申請、資金繰り、人材採用、営業、そして開業後の赤字との戦いまで経験しました。

だから本記事では、制度を説明するだけではありません。「実際に事業を始めるなら、どれを選ぶべきか」という経営者目線から、生の意見を交えて解説します。

さらに、主な介護事業を参入しやすさ・必要資金・人員・資格・収益性・営業の難易度などから横並びで比較します。

これから介護事業を始めたい方が、読み終わったときに、「自分なら、この事業から始めよう」と判断できるところまで持っていくことが、本記事の目的です。

介護経験がなくても構いません。経営経験がなくても構いません。大切なのは、最初に「何をどう始めるか」を間違えないことです。

また、障がい福祉サービス事業については、介護事業と違う目線もあることから、同じような内容を別のnote記事で取り上げる予定ですので、ご了承ください。

ではまず、「介護事業には、どんな種類があり、初心者にはどの事業が始めやすいのか?」

ここから見ていきましょう。

目次(タップで開閉)
  1. はじめに
  2. 第1章|自分に合った事業を選ぶ:介護保険事業の種類を知る
  3. 「介護事業」って、実はひとつじゃない
  4. 一般的に新規参入できる事業と、それぞれの特徴
  5. 訪問看護という選択肢
  6. 施設系は、建築費が必要?それとも賃貸物件で始める?
  7. 筆者が実際に全事業を経験して分かった、「参入のしやすさ」比較表
  8. 自分の経験・資金・エリアに合わせて、業態を選ぶ
  9. 第2章|開業に必要な資格と人員体制
  10. 資格がなくても、本当に開業できるのか
  11. 業態別・最低限必要な資格一覧
  12. 最低限そろえるべき人員体制の目安
  13. 「資格や介護スキルより、人柄・経験」が評価される?
  14. 第3章|開業資金はいくら必要か:リアルな費用の内訳
  15. なぜ「数十万円」の話と「数千万円」の話が両方あるのか
  16. 内訳を知る:法人登記・指定申請・物件・備品にかかるお金
  17. 見落としがちな「運転資金」の考え方
  18. 自己資金はいくら用意すべきか/法人化のタイミング
  19. 第4章|開業までのスケジュールと手続きの流れ
  20. 思い立ってから開業までにかかる標準的な期間
  21. 法人設立 → 指定申請 → 許可 → 開業、の全体フロー
  22. 業態ごとに異なる、指定申請〜許可までの期間差
  23. スケジュールを後ろ倒しにしないための、逆算スケジューリング
  24. もうひとつの逆算スケジュール:施設系(住宅型有料老人ホーム)の場合
  25. 「自社建築」ではなく「建て貸し」をすすめる、本当の理由
  26. 第5章|物件選びと拠点づくりのポイント
  27. 家賃・広さの適正な目安
  28. 立地選びで失敗しないためのチェックリスト
  29. 消防法・都市計画法・建築基準法など、見落としがちな規制
  30. テナント型と一軒家型、それぞれのメリット・デメリット
  31. 第6章|資金調達と補助金・融資の活用
  32. 自己資金だけで足りないときの選択肢
  33. 創業融資の使い方とベストなタイミング
  34. 補助金・助成金は本当に使うべきか
  35. 資金がギリギリにならないための備え方
  36. 第7章|集客とケアマネ・関係機関との信頼構築
  37. 「開業しただけでは利用者は来ない」という現実
  38. ケアマネジャー・地域包括支援センターとの関係の作り方
  39. 「他の事業所にはない売り」をどう作るか
  40. ネットとリアル、両輪での情報発信のバランス
  41. 第8章|開業後によくある失敗とその乗り越え方
  42. 利用者ゼロ・売上ゼロ期間の乗り越え方
  43. スタッフの離職・人間関係トラブルを防ぐには
  44. 資金繰りがギリギリになったときの対処法
  45. 「作るのは簡単、続けるのが大変」の本当の意味
  46. 第9章|業界の構造と制度を正しく理解する
  47. 介護保険事業の報酬の仅組み(超入門)
  48. 処遇改善加算など、制度変更への向き合い方
  49. 運営上のコンプライアンス対策
  50. 制度変更に振り回されないための情報収集の習慣
  51. 第10章|軐道に乗せた後:事業を伸ばす・安定させる考え方
  52. 単一サービスの限界と「多店舗展開・シナジー」の必要性
  53. 他事業との組み合わせで収益を安定させる方法
  54. 複数店舗・多店舗展開を考えるタイミング
  55. 事業を続けるための経営者としての心構え
  56. 終章|これから開業に挑戦するあなたへ
  57. 未経験・異業種から成功している人たちの共通点
  58. 完璧な準備より「まず動く」ことの価値
  59. 開業前チェックリスト ― 本記事のまとめ

第1章|自分に合った事業を選ぶ:介護保険事業の種類を知る

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そのまま使える!介護施設向けChatGPTプロンプト10選

そのまま使える!介護施設向けChatGPTプロンプト10選

以下のプロンプトは、介護施設や福祉事業所でそのまま使えるように作っています。
※利用者名、住所、生年月日、病歴、家族情報などの個人情報は、そのまま入力せず、必要に応じて「利用者A」「職員B」などに置き換えて使用してください。

① 職員会議の議事録を作る

【プロンプト】

以下は介護施設で行った職員会議のメモです。
内容を整理して、正式な議事録としてまとめてください。
以下の項目に分けて作成してください。
・会議の目的
・議題
・話し合った内容
・決定事項
・今後の対応
・担当者
・期限
・次回確認事項
文章は簡潔で、後から読んだ職員にも内容が分かるようにしてください。
重要:メモに書かれていない内容は推測して追加しないでください。不明な部分は「要確認」と記載してください。
【会議メモ】
ここに会議内容を貼り付ける
一般社団法人日本福祉人財開発協会 ウェルさん

② 事故報告書を作成する

【プロンプト】

以下は介護施設で発生した事故についての職員メモです。
この内容をもとに、事故報告書として適切な文章に整えてください。
以下の項目に分けてください。
・事故発生時の状況
・発見時の状況
・本人の状態
・職員が行った対応
・家族への連絡
・医療機関等への連絡
・考えられる原因
・再発防止策
「事実」と「推測」を明確に分けてください。
また、元の情報にない出来事や原因を勝手に追加しないでください。
再発防止策については、身体拘束につながらない方法を中心に5つ提案してください。
【事故内容】
ここに事故の状況を入力する

③ ヒヤリハットを分析する

【プロンプト】

以下は介護施設で発生したヒヤリハット事例です。
内容を分析し、次の項目に整理してください。
①何が起きたか
②事故につながる可能性
③考えられる原因
④人的要因
⑤環境要因
⑥設備要因
⑦業務手順上の問題
⑧情報共有上の問題
⑨すぐにできる改善策
⑩中長期的な改善策
さらに、「同じヒヤリハットを繰り返さないために職員間で共有すべきポイント」を3つ提案してください。
情報が不足している場合は、推測せず「確認が必要」としてください。
【ヒヤリハット内容】
ここに内容を入力する
一般社団法人日本福祉人財開発協会 ミライさん

④ 業務マニュアルを作る

【プロンプト】

以下の業務内容をもとに、介護施設の職員向け業務マニュアルを作成してください。
新人職員や応援職員が初めて読んでも、その業務を実施できる程度に分かりやすくしてください。
以下の構成にしてください。
・業務の目的
・準備するもの
・実施する順番
・具体的な作業方法
・注意事項
・事故防止のポイント
・記録する内容
・業務終了時の確認事項
専門用語を使う場合は簡単な説明も付けてください。
また、施設ごとに確認した方がよい部分には「施設ルールを確認」と記載してください。
【業務内容】
ここに手順を箇条書きで入力する

⑤ 職員の「時間がかかる業務」を分析する

【プロンプト】

以下は、介護施設の職員から集めた「時間がかかっている仕事」「負担に感じている仕事」の一覧です。
これらを業務改善の観点から分析してください。
次の5つに分類してください。
①すぐに改善できるもの
②ChatGPTなどAIで効率化できるもの
③ICT導入で改善できるもの
④業務分担や手順の変更で改善できるもの
⑤設備投資が必要なもの
そのうえで、
・費用
・導入の難しさ
・削減できそうな時間
・職員への効果
を考慮し、優先順位をつけてください。
最後に、「まず1か月以内に取り組むべき改善策」を3つ提案してください。
【職員から出た意見】
ここに一覧を入力する
一般社団法人日本福祉人財開発協会 フクロー博士

⑥ 申し送り内容を整理する

【プロンプト】

以下は介護職員の記録または申し送りメモです。
次の勤務者が知っておく必要がある情報だけを抽出し、簡潔な申し送り文にしてください。
以下に分類してください。
・体調変化
・食事、水分
・排泄
・睡眠
・転倒、事故、ヒヤリハット
・医療的注意事項
・服薬に関する事項
・家族からの連絡
・本人からの訴え
・次の勤務者が対応すること
特に変化がない項目は省略してください。
主観的な表現は避け、「実際に確認できた事実」と「本人の発言」を区別してください。
【記録・申し送り】
ここに内容を入力する

⑦ 職員研修資料を作る

【プロンプト】

介護施設職員向けに「〇〇」をテーマとした研修資料を作成してください。
研修時間は30分を想定しています。
対象は、新人職員から経験者までです。
以下の構成にしてください。
①研修の目的
②なぜ重要なのか
③職員が知っておくべき基本知識
④介護現場で起こりやすい具体例
⑤適切な対応例
⑥やってはいけない対応
⑦職員同士で話し合う事例問題
⑧まとめ
⑨理解度確認問題5問
⑩解答と解説
難しい制度用語や専門用語については、初心者にも分かる説明を付けてください。
制度や法令について断定する場合は、確認が必要な部分を明示してください。
【研修テーマ】
例:虐待防止、身体拘束、感染症対策、事故防止、BCPなど

⑧ ご家族への案内文を作る

【プロンプト】

以下の内容をもとに、介護施設から利用者のご家族へお送りする案内文を作成してください。
以下の条件で作成してください。
・失礼のない丁寧な文章
・介護保険制度などに詳しくない方にも分かる文章
・重要な内容がすぐ分かる
・必要以上に堂苦しくしない
・A4用紙1枚程度に収まる
・変更点やお願い事項は分かりやすくする
文章の構成は、
・ご挨拶
・今回のお知らせ
・具体的な内容
・ご家族へのお願い
・問い合わせについて
・結び
としてください。
【案内する内容】
ここに箇条書きで入力する

⑨ 求人原稿を改善する

【プロンプト】

以下は介護施設の求人情報です。
求人サイトに掲載する文章として、求職者が仕事内容や職場の魅力を具体的にイメージできる内容に改善してください。
特に以下を分かりやすくしてください。
・どんな施設なのか
・具体的な仕事内容
・1日の仕事のイメージ
・職場の雰囲気
・未経験者への教育
・資格取得支援
・休日、残業
・子育てとの両立
・職員同士の協力体制
・この職場で働くメリット
「アットホームな職場です」「やりがいがあります」などの抽象的な表現だけではなく、できるだけ具体的に表現してください。
元の求人情報に書いていない待遇や条件は勝手に追加しないでください。
【求人情報】
ここに現在の求人文章を貼り付ける

⑩ 業務改善会議の資料を作る

【プロンプト】

以下は、介護施設で職員から出た業務上の問題・困りごとです。
この内容を、業務改善会議で使用できる資料に整理してください。
それぞれの課題について、
①現在起きている問題
②原因として考えられること
③職員や利用者への影響
④改善案
⑤費用をかけずにできる改善
⑥ICTやAIを使った改善
⑦担当者を決める場合の役割例
⑧改善効果を確認する方法
に分けてください。
最後に、
・優先度「高・中・低」
・実施しやすさ「高・中・低」
で整理し、「最初に取り組むべき3項目」を提案してください。
【現場の困りごと】
ここに職員から出た意見を入力する

さらに使える「改善効果の記録」プロンプト

ChatGPTを使っただけではなく、業務改善の効果を記録しておくことも重要です。
【プロンプト】

以下の業務改善について、実施記録として残せる文章を作成してください。
以下の構成にしてください。
・改善前の状況
・問題点
・実施した改善内容
・実施開始日
・対象となった職員、業務
・改善前にかかっていた時間
・改善後にかかる時間
・削減できた時間
・職員からの意見
・今後の課題
・次回確認日
職場環境改善の取組として後から確認できるよう、客観的で簡潔な文章にしてください。
【改善内容】
ここに実際に取り組んだ内容を入力する

初出:note記事「そのまま使える!介護施設向けChatGPTプロンプト10選」

介護施設でChatGPT!まず「無料版」で十分

介護施設でChatGPT!まず「無料版」で十分

「介護施設でもAIを活用した方がいい」
最近、そんな話を聞く機会が増えてきました。でも、いきなり全職員に有料版のChatGPTを導入したり、本格的なAIシステムを入れたりする必要はありません。

私がおすすめしたいのは、まず無料版のChatGPTを使って、職員がAIに慣れることから始めることです。

まずは「使ってみる」ことが大切

ChatGPTは、実際に触ってみないと便利さがなかなか伝わりません。「AIって難しそう」「何を聞けばいいかわからない」「自分の仕事には関係なさそう」最初はそう感じる職員も多いと思います。だからこそ、難しいことから始める必要はありません。

まず、Google検索やYahoo検索を、ChatGPT検索に変えることから慣れればいいんです!

慣れてきたら、

  • 会議のメモを読みやすくまとめてもらう
  • 家族への案内文を作ってもらう
  • 研修報告書の文章を整えてもらう
  • レクリエーションのアイデアを考えてもらう
  • Excelの使い方を質問する
  • 職員募集の文章を考えてもらう

このような身近な仕事で使えるようになると、便利さを感じてもらえると思います。

今日は、訪問介護事業所の管理者とサ責の方に研修してきました。訪問で食事作りの時に、「冷蔵庫の中の写メを撮って、GPTに何を作ればいい?レシピも教えて!」って聞けばいいんだよ。って教えて目の前で見せたら驚いていました。

冷蔵庫の中身から料理を考えてレシピを教えてくれる

一度「これ、便利だな」と実感すると、職員自身が「これにも使えるかな?」と考えるようになります。AI活用で最初に大切なのは、高度な使い方を覚えることではなく、AIに質問することに慣れることです。新しい機器を買う必要もありません。

介護施設の場合、事務所には職員が使えるパソコンがあるところが多いと思います。また、介護現場にも記録用などのタブレットが導入されている施設が増えています。まずは、それを利用すればいいと思います。事務所のパソコンからChatGPTを開いて、「この文章を家族向けに分かりやすくしてください」と入力してみる。

現場のタブレットから、「高齢者施設でできる夏祭りのレクリエーションを10個考えて」と聞いてみる。これだけでも立派なAI活用です。最初から新しい設備投資をする必要はありません。今施設にあるパソコンやタブレットを使って始めればいいのです。

無料版でもかなり使えます

ChatGPTは無料でも、サインインしなくてもある程度利用できます。利用回数などに一定の制限はありますが、介護施設の職員がAIに慣れるためには十分な機能があります。文章作成、文章の要約、アイデア出し、質問への回答など、日常業務で役立つ使い方をかなり試すことができます。

最初から「全職員分の有料契約をしよう」と考えるより、無料版で試す→よく使う職員が出てくる→効果が確認できたら有料版を検討する、という順番の方が導入しやすいと思います。

まず1人、2人から始めてもいい

全職員に一日に「今日からChatGPTを使ってください」と言っても、なかなか定着しません。

まずは施設長、事務員、生活相談員、ケアマネ、ユニットリーダーなど、比較的パソコンを使う機会が多い職員から始めてみるのもいいでしょう。

その職員が、「議事録が30分早くできた」「文章を考える時間が減った」「研修資料を作るのが楽になった」という経験をすると、それを見た他の職員にも自然と広がっていきます。AI導入というと大げさに聞こえますが、最初はそれくらいでいいと思います。

AI導入の第一歩は「慣れること」

介護業界では、これからAIを使う場面が確実に増えていくと思います。だからといって、最初から難しいAIシステムを導入する必要はありません。まずは無料のChatGPTを開いて、職員が仕事の中で一つ質問してみる。そこから始めればいいのです。

「AIを導入する」のではなく、「職員がAIを使うことに慣れる」。これが介護施設のAI活用の一番最初のステップではないでしょうか。そして、小さな便利を一つずつ積み重ねていく。それが結果的に、介護現場の業務負担軽減や生産性向上につながっていくと思います。


初出:note記事「介護施設でChatGPT!まず「無料版」で十分」

今週の福祉経営・AIニュース3選

今週の福祉経営・AIニュース3選

2026年8月11日版|施設長・経営者が押さえておきたい動き

福祉業界は今、「単なる安定運営」だけでは解決できない時代に入っています。人材不足、賃金上昇、物価高、そして2027年度の介護報酬改定。その一方で、生成AIやICTを活用した業務改善も一気に現実的になってきました。

ふくしのフクロー博士が、毎週、福祉経営に役立つニュースを紹介していきます。今週、福祉施設の経営者・施設長にひぜ知っておいてほしいニュース3つ。

一般社団法人日本福祉人財開発協会 フクロー博士

① 多くの自治体で「介護テクノロジー導入支援事業費補助金」が発表

愛知県では8月7日に発表されました。今年度はパッケージ型導入支援の上限額について 500万円→1,000万円に変更されたりとおいしい情報もあります。

名称は県によって「介護テクノロジー定着支援事業」「介護DX支援事業」「介護ロボット・ICT導入支援事業」など異なります。例えば、宮城県、福島県、茨城県、群馬県、千葉県、静岡県、三重県、兵庫県、広島県、沖縄県などはすでに令和8年度事業を公式に公表しています。

👉フクロー博士のポイント
毎年この補助金の申請期間は非常に短くなっています。例えばセンサーを購入する場合はあらかじめ福祉用具業者やメーカーと話し合っておく必要があります。
※交付申請の支援をご希望の方は info@welsemi.com までご連絡ください。

② 障害者グループホーム、2027年4月から総量規制へ―新規開設だけでなく定員増も制限?!


「障害者GH、来年4月から総量規制の対象に 自治体がサービスを抑制」という記事が出ています。6月30日に厚労省・こども家庭庁が作成した「障害福祉サービス事業者等の指定のガイドライン」に、2027年4月から共同生活援助を総量規制の対象に加えることが明記された、と報じています。


公式の「障害福祉サービス事業者等の指定のガイドライン」が公開されています。ここでは総量規制について、地域の「供給サービス量」が障害福祉計画上の「サービス見込量」以上になっている場合などに、自治体が指定を行わないことができる仕組みと説明されています。さらに、「令和9年4月1日からは共同生活援助が新たに対象サービスとなる」と明記されています。

また最近増えてきたので日中サービス支援型です。これについても総量規制の対象になりそうです。

👉フクロー博士のポイント
私の知り合いの福祉経営者は、まだ共同生活援助事業を始めておらず、一軒家4人タイプの事業を譲渡したいと言っていました。これは、既に共同生活援助事業を行っている事業者は総量規制から外れる見込みと考えているからでしょう…。

③ 2027年度介護報酬改定を見据えた経営議論が本格化

8月4日~10日に「第30回 介護経営サミット」が開催されました。今回のテーマを見ていると、

  • 2027年度介護報酬改定
  • 物価高、賃上げへの対応
  • 事業の拡大・縮小
  • 事業承継や再編
  • これからの介護経営

など、単なる「加算の取り方」ではなく、法人そのものの経営戦略に焦点が移ってきていることが分かります。

👉フクロー博士の注目ポイント
これから重要になるのは、「報酬改定が発表されてから対応する」のではなく、改定されても利益が残る施設をつくっておくこと。

特に、

  • 人件費率
  • 稼働率
  • 加算取得率
  • 職員1人あたりの生産性
  • 事務作業時間

などを数字で把握しておくことが重要になりそうです。2027年改定に向けて、今のうちから「自施設の数字」を見える化しておきたいところです。

当然ながら、生産性向上については力を入れていくべきでしょう。


初出:note記事「今週の福祉経営・AIニュース3選」

介護施設長のためのAI活用

介護施設長のためのAI活用

「ChatGPTって、介護施設で何に使えるの?」
最近、介護事業所の経営者さんや施設長さんから、こんな質問をいただくことが増えました。
AIという言葉を聞くと、

  • 難しそう
  • パソコンに詳しい人向け
  • 介護の現場では使えなさそう
  • 個人情報が心配

という印象を持つ方も多いと思います。でも実際には、ChatGPTは介護そのものをAIに任せるための道具ではありません。介護施設で特に役立つのは、「文章を考える」「調べる」「整理する」「たたき台を作る」といった、施設長や管理者が毎日行っている仕事です。うまく使えば、今まで30分かかっていた仕事が5分、1時間かかっていた仕事が10分になることもあります。今回は、介護施設でChatGPTをどのように使えるのか、具体的に紹介します。

1.職員へのお知らせ文を作る

介護施設では、職員向けの文章を作る機会が非常に多くあります。例えば、「感染症対策について職員に注意喚起したい」とChatGPTに伝えるだけでも文章を作ってくれます。さらに、「怖い文章にならないように」「施設長から職員へ伝える文章にして」「LINEで送れる長さにして」と伝えれば、用途に合わせて文章を調整できます。施設長がゼロから文章を考える必要がなくなります。

2.家族への案内文を作る

家族向けの文章は、特に言葉遣いに気を使います。例えば、

  • 面会方法の変更
  • 感染症発生時のお知らせ
  • 利用料金変更
  • 行事のお知らせ
  • 持ち物のお願い
  • 看取りについての説明

などです。ChatGPTに、「家族に不安を与えない表現にしてください」と伝えるだけでも、かなり文章の印象が変わります。文章作成が苦手な管理者にとっては、非常に便利な使い方です。

3.会議の議事録を作る

個人的に、介護施設でかなり効果が大きいと思っているのが議事録作成です。介護施設では、

  • 職員会議
  • ユニット会議
  • リーダー会議
  • 委員会
  • ケース会議
  • サービス担当者会議

など、多くの会議があります。そして、そのたびに議事録を作ります。会議内容をメモしたものをChatGPTに渡して、「議事録形式にまとめて」と指示すれば、文章を整理してくれます。さらに音声文字起こしツールなどと組み合わせれば、会議→録音→文字起こし→ChatGPTで議事録作成という流れも作れます。今まで1時間かかっていた議事録作成が、大幅に短縮できる可能性があります。

4.事故報告書の文章を整理する

事故報告書を書くとき、「何を書けばいいのか分からない」という職員は少なくありません。例えば、「14時20分、居室前で転倒しているところを職員が発見。右肘に発赤あり。看護師確認。家族へ連絡。」というメモをもとに、「事故報告書として分かりやすく整理してください」とChatGPTに依頼できます。さらに、「原因」「再発防止策」「今後確認すべき点」について考える補助として使うこともできます。もちろん、最終的な事故原因や対策をAI任せにするのではなく、職員が考えるための補助役として使うことが大切です。

5.研修資料を作る

介護施設では法定研修をはじめ、多くの研修が必要です。例えば、

  • 虐待防止
  • 身体拘束適正化
  • 感染症対策
  • BCP
  • 認知症
  • 褥瘡予防
  • ハラスメント
  • 事故防止
  • 個人情報保護

などです。ChatGPTに、「介護職員向けに、虐待防止研修を30分でできる内容にしてください」と依頼すれば、研修資料のたたき台を作ることができます。さらに、「新人職員でも分かる表現にして」「最後に理解度チェックを5問入れて」と追加すれば、研修内容を調整できます。

6.求人原稿を作る

介護施設の求人票を見ると、「アットホームな職場です」「やりがいのある仕事です」という似たような文章が多くあります。しかし、本当に応募者が知りたいのは、

  • 休みは取れるのか
  • 残業は多いのか
  • 人間関係はどうなのか
  • 未経験でも大丈夫なのか
  • 子育てしながら働けるのか
  • 夜勤は何人体制なのか

といった情報です。施設の特徴をChatGPTに伝えて、「応募したくなる求人文章にしてください」と依頼すると、求人原稿を作る手助けになります。

7.ケアのアイデアを考える

例えば、「デイサービスでできる夏祭りレクリエーションを20個考えて」「認知症の方でも参加しやすいレクリエーションを考えて」「車椅子の方も参加できるゲームを考えて」といった使い方もできます。行事担当者が毎回ゼロからアイデアを考える負担を減らせます。

8.業務マニュアルを作る

介護施設では、「○○さんしか分からない仕事」が意外とたくさんあります。これは非常に危険です。例えば、

  • 新規入居時の手順
  • 退居時の手順
  • 入院時の対応
  • 事故発生時
  • 救急搬送時
  • 家族への連絡方法
  • 新人職員の教育
  • 請求業務

などです。普段行っている手順を箇条書きにしてChatGPTへ渡し、「新人職員向けのマニュアルにしてください」と依頼すると、業務の標準化にも利用できます。

9.行政への質問を整理する

介護保険制度は非常に複雑です。市町村や都道府県に質問するときも、「何をどう聞けばいいのか分からない」ということがあります。そんなとき、「この内容について市役所に確認したいので、質問事項を整理してください」とChatGPTに相談すると便利です。質問内容を整理してから行政へ問い合わせることで、回答も得やすくなります。

10.施設長の「相談相手」にする

実は、これがChatGPTの一番便利な使い方かもしれません。施設長という仕事は、意外と相談相手がいません。職員には相談しにくい。経営者にも言いにくい。他施設の施設長とも毎日話せるわけではありません。そんなとき、「職員からこんな相談を受けた。施設長としてどう対応すればいい?」「職員同士が揉めている。どんな順番で対応すればいい?」「稼働率が下がっている。原因を一緒に整理して」という使い方ができます。ChatGPTは決断そのものをするわけではありません。しかし、頭の中を整理する壁打ち相手としては非常に優秀です。

まずは「文章作成」から使ってみる

ChatGPTを使い始めるときに、いきなり難しいことをする必要はありません。まずは、「この文章を読みやすくして」から始めるのがおすすめです。例えば、職員向けに自分で書いた文章をChatGPTに貼り付けて、「もう少し優しい表現にしてください」と入力してみてください。これだけでも、「なるほど、こう使うのか」と実感できると思います。

ChatGPTに仕事を頼むコツ

ChatGPTをうまく使うポイントは、難しい命令文を書くことではありません。普通に人へ仕事を頼むように伝えれば大丈夫です。例えば、「介護施設の施設長として考えてください」「新人介護職員にも分かる文章にしてください」「家族向けなので丁寧な表現にしてください」「A4用紙1枚程度にしてください」など、条件を伝えてください。条件を具体的にするほど、欲しい回答に近づきます。

個人情報には注意する

介護施設でChatGPTを利用するときに、特に注意したいのが個人情報です。利用者の、

  • 氏名
  • 住所
  • 電話番号
  • 生年月日
  • 病歴
  • 家族情報

などを、そのまま入力するのは避けるべきです。例えば、「山田太郎さん」ではなく、「利用者A」として相談するなど、個人が特定できない形にして使うことが基本です。また、施設として利用する場合は、組織内でAI利用のルールを決めておくことも重要です。

ChatGPTは介護職員を減らすためのAIではない

私は、ChatGPTは、介護職員の仕事を奪うためのAIではなく、介護職員が介護に集中するためのAIだと考えています。介護職員が本来時間を使うべきなのは、パソコンに向かって文章を入力することではありません。利用者と話す。状態を観察する。職員同士で情報共有する。家族と関係を作る。こうした仕事に時間を使うべきです。そのために、文章作成や情報整理などをAIに手伝ってもらう。これが、介護施設におけるAI活用の第一歩だと思います。

介護施設でChatGPTに任せられる仕事は、まだまだあります

今回紹介したのは一部です。実際には、採用、教育、事故防止、家族対応、行政対応、加算、請求、業務改善、経営分析など、さまざまな場面で使えます。「この仕事、ChatGPTに手伝ってもらえないかな?」と思ったら、とりあえず聞いてみる。それだけでも構いません。介護業界は今後、人材不足がさらに大きな課題になります。だからこそ、人がやらなくてもいい仕事を減らし、人にしかできない介護に時間を使う。AIは、そのための非常に強力な道具になると思います。このマガジンでは今後も、「介護現場ですぐ使えるChatGPT活用方法」を、できるだけ難しい言葉を使わず、具体例を交えながら紹介していきます。


初出:note記事「介護施設長のためのAI活用」

職員会議の議事録に1時間!

職員会議の議事録に1時間

介護施設では、毎月のようにさまざまな会議があります。職員会議、ユニット会議、委員会、研修――。そして、会議が終わったあとに待っているのが「議事録の作成」です。私たちの現場でも、これが意外と大きな負担になっていました。

》議事録を作るだけで1時間以上

これまで職員会議の議事録は、ユニットリーダーがパソコンに入力して作成していました。ところが、介護職員の中にはパソコン操作を得意としていない職員もいます。会議中に取ったメモを見ながら、「この話はどうまとめればいいんだろう?」「この文章で意味が伝わるかな?」と考えながら入力していくと、議事録を完成させるだけで1時間以上かかることも珍しくありませんでした。

問題は、単に「1時間かかる」ということではありません。その1時間、ユニットリーダーは介護現場を見ることができないのです。勤務時間内に終わらなければ、残業になることもあります。

》4ユニットなら、毎月かなりの時間になる

例えば、1回の議事録作成に1時間かかるとします。4ユニットあれば、それだけで毎月4時間。年間では、4時間 × 12か月 = 48時間です。

しかも、これはユニット会議だけで考えた場合です。施設にはほかにも、事故防止委員会、感染症対策委員会、虐待防止委員会、身体拘束適正化委員会など、記録を残す必要のある会議がいくつもあります。一つひとつは小さな業務でも、年間で考えるとかなりの時間になります。

人手不足が続く介護現場では、この「記録を作る時間」をどう減らすかは、とても重要なテーマです。

》そこでPLAUDを導入しました

PLAUD
出典:https://jp.plaud.ai/

私たちが議事録作成の効率化に活用したのが、AIボイスレコーダーのPLAUDです。
https://shopa.jp/QFV9536H46ZG

会議の音声を記録し、文字起こしやAIによる要約を活用することで、「会議が終わってから、一から議事録を入力する」という作業を大幅に減らすことができました。もちろん、AIが作った文章をそのまま正式な議事録にするのではなく、最後は職員が内容を確認します。それでも、「メモを見ながら一から文章を作る」のと、「AIがまとめた内容を確認・修正する」のとでは、職員の負担はまったく違います。

》これも立派な「介護現場の生産性向上」

介護現場のICT化というと、大規模な介護ソフトや見守りセンサー、インカムなどを想像するかもしれません。しかし、生産性向上は必ずしも大きなシステムを導入することだけではありません。毎月1時間かかっている仕事を、10分、20分にできないか。こうした小さな改善を積み重ねることも、非常に重要です。

そして、介護施設における業務効率化の目的は、単純な「人件費削減」ではないと考えています。議事録作成に使っていた1時間を減らすことができれば、その分、職員が利用者さんを見る時間に戻すことができます。介護現場でAIを活用する意味は、ここにあります。AIに任せられる仕事はAIに任せ、人にしかできない仕事に、人の時間を使う。

PLAUDによる議事録作成の効率化は小さな取り組みに見えるかもしれません。しかし、4ユニット、複数の委員会、そして1年間という単位で考えてみると、その効果は決して小さくありません。介護施設の生産性向上は、こうした「毎月当たり前に時間を取られている仕事」を見つけるところから始まります。


初出:note記事「職員会議の議事録に1時間!」